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日本整形外科学会症例レジストリー(JOANR)に関する研究

申請番号 01-14
申請者 整形外科 本岡 勉
課題 日本整形外科学会症例レジストリー(JOANR)に関する研究
【概要】
[1:目的]
本研究の目的は、運動器疾患の手術に関する大規模データベースの構築である。

[2:背景]
運動器疾患(加齢性疾患、外傷、先天性疾患、感染、腫瘍など)は小児から高齢者まで幅広い国民が罹患し、国民の健康寿命を損なう主因の一つである。社会の高齢化の影響を受けて年々増加の一途であるが、全国規模の包括的なレジストリーが存在しないため全容が不明のままである。

[3:研究の合理性の根拠]
1)運動器疾患に対する手術治療に関するビッグデータに基づいたエビデンスの構築、2)専門医制度のための症例データベース、3)外科系学会社会保険委員会連合(外保連)試案の実態調査、製造販売後調査(PMS)、新規医療技術の評価、重点的に対応すべき運動器疾患と手術法の提言など様々な政策対応、などの意義がある。
判定 承認  計画どおり承認とする

A病棟のカンファレンスについての意識調査から実態の把握 ~カンファレンスの定着にむけて~

申請番号 01-13
申請者 12病棟 田中 貴大
課題 A病棟のカンファレンスについての意識調査から実態の把握 ~カンファレンスの定着にむけて~
【概要】
  A病棟は重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))が入院しており、障害者施設等7:1入院基本料の病棟である。超・準超重症心身障害児(者)の割合が57%を占め、他の重症児(者)病棟と比べ重症度の高い患者が多く入所している。

 病棟の看護師は平成31年4月現在で39名で、1年~3年目:3名、4~6年目:3名、7~10年目:3名、11~15年目:8名、16~20年目:7名、20年目以上:9名で知識や経験、情報収集能力などに差があり、患者の把握や看護の内容にも影響している。

 患者の情報共有や看護計画の周知・評価の機会としてカンファレンスがあり、カンファレンスとは「利用者に関するアセスメントを共有し、今後の計画を立てて、協働して実行していくために、あらかじめ計画された会議」と野中は述べている。また、カンファレンスの目的を川島は「1)個人の体験をチームが共有し、チーム全体の技術水準を高める 2)個々の患者への看護計画の妥当性の検討 3)チームメンバーの意思統一をはかり、効率的な看護実践を目指す 4)協働学習による新知識の習得 5)患者の見方を育てる 6)他職種との連絡調整」と述べており患者へのケアの質の向上や意思統一、人材育成の面においても看護においてカンファレンスは不可欠なものである。

 そこでA病棟で行われている現状のカンファレンスに対する意識調査を行い、カンファレンスの定着化に向けて、カンファレンスの効果と課題を明らかにすることを目的に看護研究に取り組むことにした。
判定 条件付承認  

楽しい食事時間を過ごすために ~食事介助で楽しい時間の演出~

申請番号 01-12
申請者 13病棟 高橋 司
課題 楽しい食事時間を過ごすために ~食事介助で楽しい時間の演出~
【概要】
  平成30年度の療養介助専門員の教育プログラムとしてグループでの取り組みを行い院内での発表を行った。今回、第42回九州地区重症心身障害研究会での発表に向け準備を行っており、取り組み内容について倫理的に問題が無いか審査が必要となったため取り組み内容を以下に報告する。

 現在入院患者53名中35名に食事介助が必要で、食事介助者35名中22名が食堂に集まり食事介助を行っている。しかし携わるスタッフの担当患者が明確ではなく食事を終わらせることにスタッフの意識が向き、楽しい食事環境とは言えない雰囲気に感じる。長島らは、『楽しく食べることは、生活の質の向上につながるものであり、身体的・精神的・社会的健康につながる』と述べている。

 そこで、食事から口腔ケア、臥床まで部屋担当スタッフが実施出来る環境を整え、楽しい雰囲気になるように、音楽やデコレーション、食事のグループ化を検討した。また、療養介助専門員として、食事は入院生活の楽しみであるという観点より、様々な角度から検討し取り組んだので報告する。
判定 承認 計画どおり承認とする

結核病棟入院患者のADL実態調査

申請番号 01-11
申請者 1病棟 鶴 雄一
課題 結核病棟入院患者のADL実態調査
【概要】
 結核入院は、患者に身体的・精神的・社会的に大きな影響を与える。隔離下における患者は不安定な心理状況に陥り、閉鎖的空間においてその時々の患者の気持ちに寄り添い関わる必要がある。しかし、結核病棟への入院は特に高齢者の場合、突然の環境変化、抗結核薬による副作用症状の出現、副作用症状に伴う栄養状態の低下、家族との関わり不足、合併症の悪化などで日常生活動作(以下、ADLと称す)の低下が目立ち、生活動作への影響も少なくない。このため、結核病棟という隔離された閉鎖的空間に入院するとADLが低下する要因が高いのではないかと考えた。そこで、結核病棟入院患者のADL状況と関連性を分析し、ADLへの影響予防の取り組みに繋げていくために実体調査研究に取り組むこととした。
判定 条件付承認  

施設間・地域連携が必要な疾患の一般病棟における栄養管理~エビデンス構築のための全国調査~

申請番号 01-10
申請者 栄養管理室 松谷 智子
課題 施設間・地域連携が必要な疾患の一般病棟における栄養管理~エビデンス構築のための全国調査~
【概要】
  超高齢社会を迎えた我が国では、医療分化と地域連携という課題に直面している。地域医療構想など今後さらに一般(急性期)病棟と介護福祉施設、回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟、かかりつけ医(在宅)との連携が重要である。一般病棟で治療を行った後、そのまま自宅へ戻れない患者は、在宅復帰を目指す回復期リハビリテーション病棟で、日常生活動作(Activities of daily living;ADL)の改善に取り組んでいる。また、疾患によっては、在宅でリハビリテーションを継続している患者も多い。体力や筋力の改善において、リハビリテーションと栄養は、いずれか片方が不十分であっても期待される状態に到達することができない。
しかし、回復期リハビリテーション病棟の入院患者は50%が低栄養という報告がある(Kaiser MJ. 2010)。これは、その上流にある一般病棟で不適切な栄養管理を行っていることも原因の一つと考えられる(吉村芳弘. 2016)。一方、急性期の状態である一般病棟入院患者に対し、回復期リハビリテーション病棟で推奨されている栄養量を用いることは、リハビリテーションの内容・量も異なるため、過剰栄養となる危険性がある。しかし、在宅や転院先施設で、長期間のリハビリテーションが必要となる疾患の、一般病棟に於ける栄養管理は、各施設独自の基準で行っているのが現状であり、給与栄養量、栄養介入状況やリハビリテーションの内容など、その実態は不明である。

 このような理由から、特に施設間連携と、一定期間のリハビリテーションが必要な疾患である脳血管・心臓・運動器(大腿骨・腰椎・変形性関節症)・呼吸器疾患について、一般病棟入院中の栄養状態・栄養管理の実態を全国調査で明らかにし、具体的な栄養素等の量を提示することによって、一般病棟に於ける目標栄養量等を設定する際の、参考資料として活用できる。また、早期から目標栄養量等を設定することで、退院や転院後の低栄養に陥るリスクを低減することも可能となる。

 本研究は、国立病院管理栄養士協議会のネットワークを活用することで、全国調査を可能にしており、新規性、独自性の面からも価値のある研究と考える。
判定 承認 計画どおり承認とする

海外で処方された結核治療薬に関して薬剤師が関わった2症例

申請番号 01-09
申請者 元薬剤部 白川 敦規
課題 海外で処方された結核治療薬に関して薬剤師が関わった2症例
【概要】
  実施責任者および実施分担者は、東南アジア地域の異なる2か国の医療機関において処方された抗結核薬等に関して、それぞれ当院医師の相談を元に内容照合等を実施した。本邦未承認薬の内容確認のためには当院の医療情報室が有する既存資料では対応が出来ず、外部の専門情報データベース等への確認が必要であった。この事は日常業務では得難い経験であった。渡航機会の増加を背景にした輸出入感染症に関わる業務体制の構築・整備は、現代社会において各医療機関が取り組むべき課題であり、また結核診療拠点機関である当院が外部報告することで、全国の感染症診療等に携わる薬剤師に向けて意味のある症例提示になると考えられる。
判定 承認 計画どおり承認とする

内視鏡検査における1.6%ペパーミント懸濁液の導入

申請番号 01-08
申請者 薬剤部 米田 奈美
課題 内視鏡検査における1.6%ペパーミント懸濁液の導入
【概要】
  下部消化管内視鏡検査実施時に消化管蠕動運動抑制目的にはブチルスコポラミン、グルカゴンが使用される。問題点として、合併症等によりブチルスコポラミン、グルカゴンの使用が不適な患者には全身作用の少ない市販のメントール製剤を使用したいところだが、適応が上部消化管に限られており、下部消化管内視鏡時に使用すると査定の対象となることから、医師の要望を受け、2019年2月から1.6%ペパーミント懸濁液を作成、導入した。使用状況を調査し、報告する。
判定 承認 計画どおり承認とする

 「ちゃん」づけ呼称を行う職員の児(者)との心理的距離感 ~重症心身障がい児(者)の呼称に対する意識調査より~

申請番号 01-07
申請者 13病棟 松尾 宏美
課題 「ちゃん」づけ呼称を行う職員の児(者)との心理的距離感 ~重症心身障がい児(者)の呼称に対する意識調査より~
【概要】
  重症心身障がい児(者)病棟の患者は、長期の入院患者が多く、入院の過程で、職員と患者の心理的距離が近くなり、幼少期からケアを行っているためか、年齢に関係なく、患者を「~ちゃん」や「~くん」、愛称で呼んでいる状況を見うける。虐待防止法や倫理マニュアルでは、患者の呼び方は「~さん」で声かけを行うことになっているが、「ちゃん、くん」などの呼称と「さん」での呼称が混在している現状がある。

 患者を「ちゃん、くん」などで呼称することは、介護、看護において遵守すべき、自立尊厳原則や善行原則、正義原則に反するものである。病棟内においての誤った呼称の意識を改善し、「さん」付けでの呼称に統一するべきであると考え、昨年度取り組みを行った。その結果、「さん」での呼称に改善はみられたが、「さん」での統一に至らなかった。それぞれの職員の立場の違い、経験年数を分析することで患者に対して「ちゃん」づけでの呼称を行っている理由について明らかにし、経験の異なる職員への指導方法を考えることを目的とする研究である。
判定 条件付き承認  

3歳児の重症心身障がい児の成長発達を促す関わりを考える ~五感刺激を与えて~

申請番号 01-06
申請者 12病棟 松延 かおり
課題 3歳児の重症心身障がい児の成長発達を促す関わりを考える ~五感刺激を与えて~
【概要】
  周産期医療や小児医療の著しい進歩のもとに、小児難治性疾患の子どもの長期生存が可能になった。重症心身障がい児(者)病棟においても、人工呼吸器や継続的濃厚医療ケアを必要とする超・準重症心身障がい児(者)が増えてきており、様々な医療を必要とする小児が多く在院するようになった。

 成長・発達の著しい小児期に、長期の入院を余儀なくされる子どもにとって、家族や友達と離れ、自然や社会との触れ合いも制限される入院生活という環境から受ける影響は大きいと思われる。

 幼児期初期は基本的運動機能の発達に伴い、人として生きてゆくために獲得しなければならない基本的な生活習慣や対人関係のあり方を獲得していく時期であり、子どもはそれぞれの発達段階に応じて、その時期に獲得しなければならない課題を有している。末石は、精神運動発達遅滞児の発達を支援する看護実践上の指針として、「子どもの行動の中に発達している小さな変化を見つけ出し、その変化の意味を捉え、脳の神経回路網が豊かに発達していくように、快と感じられる体験を増やす。」「外界の様々な刺激が種々の感覚器官を通して脳に反映され、豊かな像形成の力が健やかに発達するように子どもの経験の幅を広げつつ、刺激が心地よい像として描けるように関わる。」と述べているように、障がいを有する子どもにとっても関わっていく大人が児の小さな変化を見極め、その児に応じた支援を行い発達を促すことが重要であると考える。また、入院生活を強いられ刺激が少ない児に対しては、個々の生育歴や療育での観察記録、成長の軌跡を振り返り、そこから児に応じた関わりを導きだし発達を促す意図的な関わりを行っていくことが児がこれからを生きていくうえで大きな意味をもたらすと考える。

 今回の事例いおける児は、人工呼吸器装着中であり、経鼻腸チューブ挿入中でもあるため、顔に手が届かないようにミトン装着や上肢の行動に制限がある。発達段階における患児の行動を制限することは、成長発達に影響を及ぼすことが考えられる。短期間での関わりで成長発達が促される可能性は低いが、現状の発達段階を把握し、児の成長発達を促すべく1日の生活リズムや生活環境、他部門と連携した五感に刺激を与える関わりを持つことで、成長発達がみられるのか検証したいと考える。
判定 承認 計画どおり承認とする

非経口患者の舌苔除去に対するアズノール混合液スプレーの効果 第2報

申請番号 01-05
申請者 11病棟 古賀 さほり
課題 非経口患者の舌苔除去に対するアズノール混合液スプレーの効果 第2報
【概要】
  重症心身障がい児(者)(以下重心患者と略す)の多くは脳性麻痺等の疾患や拘縮により寝たきり・ADL全介助であることが多い。当病棟においても、50名中約48%の患者が胃瘻や経鼻経腸栄養用チューブ等非経口摂取による栄養摂取を行っており、口腔内が乾燥・舌苔が肥厚しやすい傾向がある。当病棟では毎日ブラッシングや口腔内専用拭き取りシートでの拭き取りによる口腔ケアを行っているが、中々改善が見られないケースがある。歯科の介入により、重曹を用いたケアを1日2回行う手法が有効であることが分かった。しかし、全員にそのケアを行う事と、1日のブラッシング回数を2回に増やすことは患者の筋緊張や不快感が増す可能性があった為、他に患者にとって安楽であり、簡便な手法が無いか研究検索を行った。昨年度の研究では、1日1回午後の歯ブラシ洗浄の15分前にアズノール混合液を舌に塗布し、その後通常通り歯ブラシを使用しブラッシングを行った。対象者5名中3名に舌苔量の減少がみられたが、混合液の塗布時に筋緊張の増強がみられた事と、混合液が有効であることをより明確にする為、本研究では昨年度の引き続き混合液の塗布方法をスプレーでの塗布に変更し検証する。
判定 条件付き承認  

看護業務残業時間削減について ~事務助手への一部看護業務移行をとおして~

申請番号 01-04
申請者 3病棟 蒲池 彰
課題 看護業務残業時間削減について ~事務助手への一部看護業務移行をとおして~
【概要】
  A病棟は6つの診療科が混在しており、急性期の入院を受け入れる混合病棟である。そのため、各診療科の業務が重複しスムーズな業務が困難な場面が見られる。また、看護業務以外でも電話対応や受付対応は看護師が担っており看護業務の中断となっている。入院対応においても、医事に提出する書類の説明や会計の説明、業者によるおむつ契約、病衣契約の説明を看護師が担い対応している。このことにより時間内に看護業務を終了できない事がある。

 2019年4月より施行される働き方改革として、厚生労働省より残業時間の制限や働く環境づくりなど具体的な取り組みが挙げられている。

 今回、A病棟において事務助手の配置に伴い、事務助手に移行できる看護業務内容を見直すことで看護業務に集中できる環境となり、残業時間の削減になると考えた。
判定 承認 計画どおり承認とする

包括病棟を退院する患者と家族が不安のない退院支援めざして、アンケート調査を行って、実際を知る

申請番号 01-03
申請者 2病棟 松本 智美
課題 包括病棟を退院する患者と家族が不安のない退院支援めざして、アンケート調査を行って、実際を知る
【概要】
  退院を迎える患者とその家族が、退院するまでに不安がないか、どんなところに不安をもっているか、患者・家族の背景に問題はないか。アンケート調査を行って実態調査を行う。調査の結果を知り、患者とその家族がより不安なく退院出来る様に退院支援の充実を図る。
判定 条件付き承認  

小児外科で手術を受けた重症心身障がい児/者をケアする人々のQOLに関するアンケート調査

申請番号 01-02
申請者 小児科 荒牧 修一
課題 小児外科で手術を受けた重症心身障がい児/者をケアする人々のQOLに関するアンケート調査
【概要】
  重症心身障がいを有する患児/者(重心児/者)は、その脳機能障害に付随した呼吸障害、摂食障害や嚥下障害、筋緊張異常、側彎、消化管運動異常などを原因とした胃食道逆流症などの合併症、また泌尿器的合併症として神経因性膀胱による尿排出障害などを高率に引き起こす。それぞれの合併症に対して外科治療の適応となった場合には、気管切開、喉頭気管分離、噴門形成術、胃瘻造設、膀胱瘻造設などの術式が主に小児外科において施行されることが多い。それぞれの手術により、重心児/者の合併症による症状は軽減し、QOLが向上することは過去に幾つか報告されている。具体的には気管切開による確実な気道確保による呼吸の安定(1)、喉頭気管分離による誤嚥経路遮断による誤嚥性肺炎の防止(2)、噴門形成による逆流症状の改善、胃瘻造設によるスムーズな栄養投与経路の確保(3)、膀胱瘻造設による尿路の確保などによるものである。

 一方で、これらの重心児/者の日常生活のQOLは入所施設のスタッフや、自宅での両親を中心とした家族の毎日のケアによって支えられている。上述した各手術による重心児/者の合併症の各症状の軽減によるQOLの向上が、ひいてはかれらの周囲のケアする人々のQOL向上に繋がっていると考えられるがその点についての報告は意外にもない。

 従って、本研究では小児外科で上述したような手術を施行された重心児/者を日々ケアしている入所施設のスタッフや、自宅での両親を中心とした家族にアンケート調査を行い、小児外科における重心児/者への手術が彼だけでなく、彼らをケアで支える人々のQOLの向上にも貢献しているかについて明らかにする。本研究により重心児/者をケアで支える人々のQOLが、重心児/者の術後にどのような状況となっているかを把握することは極めて意義があると考えられる。
判定 条件付き承認  

重症心身障害児(者)におけるセレン欠乏の実態調査

申請番号 01-01
申請者 小児科 山本 修一
課題 重症心身障害児(者)におけるセレン欠乏の実態調査
【概要】
  セレンは必須微量元素のひとつで、セレンを含まない中心静脈栄養や一部の経腸栄養剤・特殊ミルクで栄養管理される患者の中にセレン欠乏症(心筋障害や皮膚症状、筋症状、毛髪の変化など)が発生することが報告されている。重症心身障害者(以下、重症児(者))では食事を経口摂取できず、栄養摂取を経腸栄養に依存せざるを得ないことが多々起こるが、こうした患者におけるセレン欠乏の実態調査は過去に報告され、いずれもセレン欠乏のリスクが高いとされている。

 一方、「食事を経口的に摂取する場合、一般的にはセレンは欠乏することがない」とされているが、重症児(者)では、消費カロリーが少ない患者が多く、提供する食事のカロリーも低めに設定されていること、本人の味の好みや体調がすぐれないなどの理由から提供される食事を十分に摂取していない場合などが頻繁に起こることから、セレンを含めた微量元素の欠乏状態のリスクがあると考えるが、実際に調査された報告は少ない。

 2016年より当院では長期入所中の重症児(者)に対し定期的にセレン値を検査しており、欠乏症を認める症例には治療を行っている。今回の研究では、治療前の初回検査(2016年6月~8月)の検査結果を元に、当院の重症児(者)におけるセレン欠乏の実態を調査し、より安全な栄養管理の方法について検討する。
判定 承認 計画どおり承認とする