研究検査科このページを印刷する - 研究検査科

理念

効率的な検査科運営に努め
患者サービスの充実と安心安全で質の高い検査科を目指します。

基本方針

  • 正確な検査と迅速な報告
  • 患者接遇の向上
  • 医療安全に繋がるQC活動への取組み
  • 学術・技術の研鑽
  • 効率的な検査科の運営


研究検査科では6名の臨床検査技師で検査を行い、夜間、休日を含め24時間の対応ができる体制をとっています。平成25年3月より新病棟の2階に移転し、ワンフロア化された検査室として、特殊検査を除き30分から1時間以内の検査報告を心がけ、診療支援に努めています。また、検査業務にとどまらず、チーム医療の一環としてICT(感染防御チーム)、NST(栄養サポートチーム)、 糖尿病教室等、さまざまな活動に参加し、診療の充実に貢献しています。病院外の事業としてスギ花粉、ヒノキ花粉の飛ぶ時期はみやき地区の花粉情報を提供しています。

検査は業務内容により検体検査、生理機能検査に分けられます。 検体検査は、患者様から採取された血液、尿、便、体液、喀痰等を検体として、生化学検査、免疫検査、輸血検査、血液学検査、一般検査(尿・便検査)、微生物検査の分野に分けられます。生理機能検査は、身体から得られた情報を検査していく、心電図検査、脳波検査、肺機能検査、超音波検査などがあります。

(1)一般検査

一般検査部門では、尿検査、便、腹水・胸水、髄液、関節液などを検体として検査を行っています。

尿検査

尿検査機器
尿は、容易に採取できる検査材料であり腎臓の状態を直接評価できます。提出された尿は定性検査と尿沈渣の検査を行います。定性検査は、尿比重・PH・糖・蛋白・ケトン体・ビリルビン・潜血・亜硝酸塩・白血球・ウロビリノーゲンの項目を60秒で報告しています。 尿沈渣は尿を1500rpmで5分間遠心し尿中成分を顕微鏡で観察しています。 その他に尿蛋白・尿微量アルブミン・尿クレアチニン・尿電解質なども実施しています。

便検査

便潜血反応検査は大腸癌、出血性大腸炎などのスクリーニングとして行います。また寄生虫の検査も行います。

体腔液(胸水・腹水)髄液検査

外観から観察し比重、蛋白、細胞数、生化学、腫瘍マーカーを検査しています。検体の細胞分類を行い、病変を推定することもあります。

関節液検査

関節液の性状生化学、細胞分類を検査し、依頼があれば、痛風結晶(尿酸ナトリウム)、偽痛風結晶(ピロリン酸カルシウム)の鑑別をしています。

(2)血液、凝固検査

血球計数(CBC)

血液は、EDTA2Kが入っている採血管に採血し、これを自動血球計算機にて測定します。血球算定では白血球・赤血球・血小板・血色素量(ヘモグロビン)・ヘマトクリット・MCV(赤血球の大きさ)などの項目について知ることができます。
また白血球の分類を行い貧血、炎症、感染症を調べることができます。

凝固・線溶および出血傾向検査

血液中の凝固因子(血液を固まらせる)の機能やワーファリンの治療効果の確認ができます。PT(プロトロンビン時間)、APTT、フィブリノーゲン、FDP、Dダイマーの5項目を測定しています
また出血時間検査は手術前の検査で、血液の止まる時間を調べる検査(血小板の働きを見る検査)です。

(3)生化学検査

生化学検査
血液や尿の中に含まれる化学物質を測定し体の内臓機能(肝機能、腎機能、膵機能、糖代謝、脂質代謝等)を調べる検査です。多数の検査項目を採血から、1時間以内に報告しています。
 
肝機能検査 総蛋白、アルブミン、AST、ALT、LDH、γ―GT、総コレステロールなど
膵機能検査 アミラーゼ
循環器機能検査 CPK、CK-MB
腎・泌尿器科検査 BUN、クレアチニン、尿酸、カルシウム、無機リン、電解質
薬物血中濃度 フェノバルビタール、バルプロ酸、テオフェリン、カルバマゼピン、ジゴキシン、フェニトインなど

(4)免疫血清検査

生化学検査と同様に血液や尿に含まれる腫瘍マーカーやホルモン、肝炎ウイルスなどの測定を採血から約1時間で報告しています。
 
  • 甲状腺ホルモン・・・TSH、FT3、FT4
  • 糖尿病関連ホルモン・・・CPR、IRI
  • 腫瘍マーカー・・・CEA,CA19-9、AFP、PIVKA-II、PSA、CYFRA、ProGRP
  • 心筋梗塞マーカー・・・BNP、トロポニンT、CK-MB
  • 感染症検査項目・・・HBs抗原、HBs抗体、HCV抗体
  • アレルギ―検査項目・・・IgE
  • 用手項目・・・マイコプラズマ抗体


迅速検査(インフルエンザ抗原、ノロウィルス抗原、肺炎球菌抗原、レジオネラ抗原、マイコプラズマ抗原等)も行っています。

(5)輸血検査

血液型を調べる検査です。それを調べるとともに、輸血の際、副作用の発生を防ぐ不規則抗体検査も行っています。
輸血の際、輸血する血液と適合するかどうかの交差適合試験を行います。

(6)微生物学的検査

感染症を疑う場合に検査します。1.感染症であるか、2.感染症の原因菌は何か、3.原因菌に対して効く抗菌薬は何か、さらに抗菌薬の治療効果の有無などが検査目的です。感染を疑う部位から採取した排泄物や分泌物(例:喀痰、便、尿など)を検査材料とし、塗抹検査、培養・同定検査、薬剤感受性検査を実施し約3~5日で検査結果報告となります。食中毒の原因菌や集団感染を起こす結核菌、院内感染で問題となるMRSAをはじめ多種の薬剤耐性菌分離などの結果を臨床へ報告します。
院内感染対策については、ICT(Infection Control Team)を設置し定期的なラウンドを含め多方面からの感染制御の強化に努めます。

当院は結核病床があり、結核菌分離は時間がかかりますが、平成27年度より結核菌群迅速遺伝子診断装置を導入しました。特徴は、67℃ 40分の等温増幅により簡易的な反応系(LAMP法)で迅速に検出できる遺伝子検査です。本検査は結核の早期診断、早期治療に役立ち、院内感染管理において重要な検査です。感染症の原因菌により抗菌薬の効果また治療法が異なるため、臨床に直結する検査が細菌検査です。下図は結核菌群迅速遺伝子検出 LAMP法です。
微生物検査

(7)生理検査

心電図検査

安静心電図、負荷心電図、24時間心電図などを行っています。
24時間ホルター心電図では小型の装置を身につけて頂き24時間の心電図を記録します。狭心症のなかでも冠攣縮性狭心症と呼ばれるものは労作と無関係に夜や早朝に多くみられます。このため,通常の心電図ではわからないため実生活の中で24時間心電図を記録する検査が欠かせません。
手のひらより随分小さな長径5cm程の機械です。

肺機能検査

ぜんそく,咳が出るなどの症状がある時に,呼吸器の機能測定を行います。レントゲン検査ではわからない換気機能の状態を調べる検査です。 肺の病気の診断・重症度を調べる場合や治療効果を見るときにも行われます。

超音波検査

超音波検査
超音波検査とは、耳に聞こえない高周波(主に3MHz以上)を用い対象物を映像化する画像検査法の一つです。
X線レントゲン装置、X線CT装置などのように被曝がないため、どなたでも安心して受けていただける検査です。
当院では心臓、腹部、頸部血管、乳腺、甲状腺、下肢静脈など幅広く超音波検査に取り組んでいます。
 

その他の検査

その他の検査
脳波検査、聴力検査、睡眠無呼吸症候群の簡易検査、ABI(動脈硬化の程度検査)、インボディー(体成分分析)、尿素呼気試験(ピロリ菌の検査)、神経伝導検査、時間内歩行、サイクルエルゴメーターによる負荷心肺機能検査(運動負荷をした際の心機能、呼吸機能の予備能評価)も行っています。