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COVID-19(coronavirus disease 2019)に対する院外トリアージシステムと地域病床運営の最適化

申請番号 02-09
申請者 呼吸器内科 田中 将英
課題 COVID-19(coronavirus disease 2019)に対する院外トリアージシステムと地域病床運営の最適化
【概要】
 佐賀県ではプロジェクトMを中心に独自の救急患者トリアージを行い、感染が疑われる症例は感染症指定病院に搬送することで、院内感染のリスクを最小限にとどめることに成功している。しかし、COVID-19の第2波が発生した際に、現在のトリアージシステムで十分に対応できるかどうかは未知である。

 今回、佐賀県内及び隣接する福岡県の感染症指定病院で実際に受診したCOVID-19患者並びに疑似症例の初期症状や行動歴、治療経過を収集及び解析することで、COVID-19第2波に対応するための地域にマッチした流動性のあるトリアージシステムを考案する。また、重症化やPCR陰性化までの期間を検証することで、地域における病床運営の最適化を考案する。

 佐賀大学医学部附属病院高度救命センターが主導する臨床研究であり、共同研究施設として参加する。
判定 承認  

血清マイクロRNA解析による新型コロナウイルス感染症重症度マーカーの開発

申請番号 02-08
申請者 呼吸器内科 小林 弘美
課題 血清マイクロRNA解析による新型コロナウイルス感染症重症度マーカーの開発
【概要】
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は現在全世界に拡大している。COVID-19の早期診断のためPCR検査に加えLAMP法、抗原検査などが開発されてきている。COVID-19は2割の患者が重症化するといわれているが、どのような患者が重症化するのかはまだ明らかではなく、重症化を予測するバイオマーカーの開発が望まれる。

   本研究は疾患特異的に変動する血中マイクロRNAに着目し、PCR検査による診断確定例の血中マイクロRNAを解析することにより、COVID-19の重症度評価・予後予測に有用なバイオマーカーを開発することを目的とする。

 本研究は高邦会高木病院の林真一郎医師を研究責任者とし、高木病院臨床微生物・遺伝子検査研究センターおよび国際医療福祉大学にて解析が行われるため、研究参加に文書で同意を得た患者の臨床情報を匿名化し血清(臨床検査の残血)とともに同病院・大学に提供する。研究期間は承認を得た日から令和5年3月31日までである。
判定 承認  

重症心身障害児(者)における腎機能評価におけるシスタチンC(Cys-C)の有用性の検討

申請番号 02-07
申請者 小児科 陣内 久美子
課題 重症心身障害児(者)における腎機能評価におけるシスタチンC(Cys-C)の有用性の検討
【概要】
 腎機能の指標として一般に用いられる血清Cr値は筋肉量、運動などの影響を受け、正確な腎機能を反映していない場合がある。一方Cys-Cは全身の細胞で産性される低分子タンパクで、腎糸球体を自由に通過することができ、血清Cys-C値は、筋肉量、運動の影響を受けることがなく、さらに血清Cr値と比較し、早期の腎機能障害に対する感度、特異度が高いとされている。

 以上より、筋肉量の低下や、逆に過度の筋緊張などを認めることが多い重症心身障害児(者)では、腎機能を血清Cr値のみで評価することは過少・過大評価につながる危険があること、重症心身障害児(者)は薬剤性の腎障害、腎尿路奇形、腎尿路結石や反復する尿路感染症の伴う急性・慢性の腎機能障害を起こすことも多いことから、重症心身障害児(者)における急性腎障害や早期の腎機能低下の発見に血清Cys-C値は有用であると考えられるが、そのエビデンスは希薄である。

 本研究では、重症心身障害児(者)の腎機能評価、特に早期、または軽度の腎機能障害の検出における血清Cys-C値の有用性についてのエビデンス確立を目的とする。保険診療内の診療行為として測定した血清Cys-C値と血清Cr値を含む各種腎機能パラメータを比較検討し、その有用性を検証する。
判定 承認  

小児新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するメシル酸ナファモスタット(商品名:コアヒビター)を用いた薬物療法

申請番号 02-06
申請者 小児科 山本 修一
課題 小児新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するメシル酸ナファモスタット(商品名:コアヒビター)を用いた薬物療法
【概要】
 2019年12月に中国武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、2020年3月時点で全世界に拡大した。日本においては2020年1月に指定感染症に指定されてからも徐々に感染は拡大し、特定の地域においては医療提供体制崩壊の懸念も出てきている。

 COVID-19は問題点として感染力、死亡率の高さが特記されるが、さらに特異的な治療法が存在せず、対症療法で患者の回復を待つしかないことが挙げられる。現在世界各地で基礎的、臨床的な研究が精力的に進められているが、依然確立した治療法は存在しない。

 COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2は、重症急性呼吸器症候群(SARS)の原因ウイルスSARS-CoVと類似している。これまでの基礎的な研究により、SARS-CoVの宿主への感染の成立には、宿主のセリンプロテアーゼが必須であることが判明しており、セリンプロテアーゼの阻害薬がSARS-CoV感染阻止、あるいはSARSの病態進行阻止に有用である可能性が示唆されている。先日発表された研究論文(Hoffmann et al.)によると、SARS-CoV-2の感染成立にもセリンプロテアーゼが関与することが証明され、SARSと同様、セリンプロテアーゼ阻害薬がCOVID-19の治療にも有用である可能性が示された。事実、試験管レベルではあるが、当該論文では、SARS-CoV-2の培養細胞への侵入をセリンプロテアーゼ阻害薬であるメシル酸カモタットが強力に抑制した。

 メシル酸ナファモスタット(商品名:コアヒビター)はメシル酸カモスタット同様セリンプロテアーゼ阻害薬であり、2020年3月、東京大学の井上らは、メシル酸ナファモスタットがSARS-CoV-2の宿主細胞への侵入を阻止することができる可能性を報告した。コアヒビターは2002年に薬価基準収載され、これまでに急性膵炎、DIC、対外循環時の凝固防止に使用されている。特に急性膵炎においては内科、外科での使用経験は豊富であり安全性も確立している医薬品である。副作用としてはショック、アナフィキラシー、電解質異常、白血球・血小板減少、肝機能障害等が報告されているが、いずれもその発生頻度は1%未満とされている。

 以上、本申請は、COVID-19患者へ、疾患適応のないコアヒビターの投与を計画するものである。
判定 承認  

COVID-19に帯するシクレソニド吸入剤(オルベスコ)を用いた薬物療法

申請番号 02-05
申請者 呼吸器内科 小林 弘美
課題 COVID-19に帯するシクレソニド吸入剤(オルベスコ)を用いた薬物療法
【概要】
 新型コロナウイルス感染症に対する治療薬としてシクレソニド吸入剤(オルベスコ)を使用したい。コロナウイルス感染症は7種類あり、4種類は風邪ウイルスとされ軽症だが、残りの3種類に関してはSARS-CoV、MERS-CoV、そして本ウイルスとされている。これまでもSARS、MERSに関して治療法は確立されておらず、基本的に対症療法である。本疾患は重症化するとARDSを発症する事が多く、その重症化あるいは重症化予防のため経験的な加療を行う必要がある。

 シクレソニドは吸入投与後、肺炎で加水分解を受けて活性代謝物に変換されるプロドラッグである。シクレソニドは吸入用ステロイドとして未熟児・新生児から高齢者まで広く用いられる安全な薬剤で気管支喘息を適応症として承認されており、気道の慢性炎症の抑制に効果があるとされる。COVID-19の肺障害の病理は未だ明らかにされてないが、MARSやSARSから推定されるところでは、ウイルスが肺胞上皮細胞で増殖し、肺障害を引き起こしながら、同時に肺障害を引き起こしながら、同時に肺胞マクロファージなどに感染し局所の炎症を惹起すると考えられ、シクソニドの持つ抗ウイルス作用と抗炎症作用が重症化しつつある肺障害の治療に有効であることが期待されている。国内臨床試験における副作用発現率は、成人7.7%(45/588例)、小児(2/203例)である。成人では呼吸困難、嗄声、発疹、尿蛋白、AST・ALT増加がみられており、小児では気管支痙攣、肝機能異常が1例みられている。禁忌は、有効な抗菌剤の存在しない感染症、深在性真菌症の患者、本剤の成分に対して過敏症の既往のある患者とされ、結核の患者は原則禁忌である。

 本薬剤使用の際には、藤田医科大学の観察研究「ファビピラビル等の抗ウイルス薬が投与されたCOVID-19患者の背景因子と治療効果の検討」に登録するため、臨床情報を匿名化し同大学に提供する。
判定 承認   

新型コロナウイルス感染症に対するファビピラビル(アビガン)を用いた適応外使用及びCOVID-19に関するレジストリ研究

申請番号 02-04
申請者 呼吸器内科 小林 弘美
課題 新型コロナウイルス感染症に対するファビピラビル(アビガン)を用いた適応外使用及びCOVID-19に関するレジストリ研究
【概要】
 新型コロナウイルス感染症に対する治療薬としてファビピラビル(アビガン)を使用したい。

 コロナウイルス感染症は7種類あり、4種類は風邪ウイルスとされ軽症だが、残りの3種類に関してはSARS-CoV、MERS-CoV、そして本ウイルスとされている。これまでもSARS、MERSに関して治療法は確立されておらず、基本的に対症療法である。本疾患は重症化するとARDSを発症することが多く、その重症化予防のため経験的な加療を行う必要がある。

 ファビピラビルは抗ウイルス薬であり、効能・効果は「新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症(但し、ほかの抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分なものに限る)」として厚生労働省の認可を受けている。その作用機序は、生体内で変換された三リン酸化体(T-705RTP)がウイルスのRNAポリメラーゼを選択的に阻害するもので、インフルエンザウイルス以外のRNAウイルスへも有効性が期待されている。SARS-CoV-2ウイルスに対しても増殖阻害効果があることから、COVID-19に対して日本で適用外使用されている。投与対象は、感染症学会の「COVID-19に対する抗ウイルス薬による治療の考え方 第1版」により、重症度の高い症例への投与が示唆されている。また催奇形性を有する可能性から、妊婦、妊娠の可能性のある患者には禁忌とされている。

 本薬剤使用の際には、藤田医科大学の観察研究「ファビピラビル等の抗ウイルス薬が投与されたCOVID-19患者の背景因子と治療効果の検討」に登録するため、臨床情報を匿名化し同大学に提供する。また、国立国際医療センター(NCGM)のCOVIDレジストリ研究(後ろ向き観察研究)へも臨床情報を匿名化し提供する。
判定 承認   

新型コロナウイルス感染症に対するヒドロキシクロロキン硫酸塩(プラニケル)を用いた薬物療法

申請番号 02-03
申請者 呼吸器内科 小林 弘美
課題 新型コロナウイルス感染症に対するヒドロキシクロロキン硫酸塩(プラニケル)を用いた薬物療法
【概要】
 新型コロナウイルス感染症に対する治療薬としてヒドロキシクロロキン硫酸塩(プラニケル)を使用したい。

 コロナウイルス感染症は7種類あり、4種類は風邪ウイルスとされ軽症だが、残りの3種類に関してはSARS-CoV、MERS-CoV、そして本ウイルスとされている。これまでもSARS、MERSに関して治療法は確立されておらず、基本的に対症療法である。遺伝子はSARS-CoVに類似していると考えられており、SARS流行期に本薬剤に効果があったとの報告をもとに、本疾患に対してもすでに中国や本邦で使用し改善したとの報告がある。本疾患は重症化するとARDSを発症することが多く、その重症化あるいは重症化予防のため経験的な加療を行う必要がある。

 副作用は非常に少ないとされている。最もよく認められる副作用は吐き気と下痢であるが、内服しているうちに改善することも多く、またヒドロキシクロロキンにより視力の低下や失明(網膜症や黄斑変性症)が起こりうることが報告されている。このような副作用は、高用量(累積投与量200g以上)を長期間内服し続けている患者、60歳以上、著しい腎障害がある患者に起こりやすいことが知られている。投与前に眼科受診が望ましいが、病状的に受診困難であれば日光にあたるのを避け、サングラスをするなどの対応を検討する。本治療を行った場合には肺炎が改善し救命できる可能性がある。一方で行わなかったとしても本感染症に対する治療薬がないため、対症療法で改善する可能性もある。
判定 条件付承認   

新型コロナウイルス感染症に対するロピナビル・リトナビル(カレトラ)を用いた薬物療法

申請番号 02-02
申請者 呼吸器内科 小林 弘美
課題 新型コロナウイルス感染症に対するロピナビル・リトナビル(カレトラ)を用いた薬物療法
【概要】
 新型コロナウイルス感染症に対する治療薬としてロピナビル・リトナビル(カトレラ)を使用したい。

 コロナウイルス感染症は7種類あり、4種類は風邪ウイルスとされ軽傷だが、残りの3種類に関してはSARS-CoV、MERS-CoV、そして本ウイルスとされている。これまでもSARS、MERSに関して治療法は確立されておらず、基本的に対症療法である。遺伝子はSARS-CoVに類似していると考えられており、SARS流行時に本薬剤に効果があったとの報告をもとに、本疾患に対してもすでに中国や本邦で使用し改善したとの報告がある。本疾患は重症化するとARDSを発症することが多く、その重症化あるいは重症化予防のため経験的な加療を行う必要がある。

 カレトラの副作用は主に下痢、嘔気・嘔吐、腹痛などの消化器症状である。また、すでに飲んでいる薬剤との相互作用もあるため、内服時には抗凝固剤(ワーファリン)や免疫抑制剤など内服している場合は適宜血中濃度を測定しながら経過観察する必要がある。重篤な副作用として、高血圧、糖尿病、膵炎、出血傾向、肝機能障害、肝炎、徐脈性不整脈、中毒性表皮壊死融解症など頻度不明であるが報告されている。HIV感染症に対する使用成績調査では、総症例1184例中649例(54.8%)に副作用が認められている。
判定 条件付承認  

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するメシル酸ナファモスタット(商品名:コアヒビター)を用いた薬物療法

申請番号 02-01
申請者 小児科 山本 修一
課題 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するメシル酸ナファモスタット(商品名:コアヒビター)を用いた薬物療法
【概要】
 2019年12月に中国武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、2020年3月時点で全世界に拡大した。日本においては2020年1月に指定感染症に指定されてからも徐々に感染は拡大し、特定の地域においては医療提供体制崩壊の懸念も出てきている。

 COVID-19は問題点として感染力、死亡率の高さが特記されるが、さらに特異的な治療法が存在せず、対症療法で患者の回復を待つしかないことが挙げられる。現在世界各地で基礎的、臨床的な研究が精力的に進められているが、依然確立した治療法は存在しない。

 COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2は、重症急性呼吸器症候群(SARS)の原因ウイルスSARS-CoVと類似している。これまでの基礎的な研究により、SARS-CoVの宿主への感染の成立には、宿主のセリンプロテアーゼが必須であることが判明しており、セリンプロテアーゼの阻害薬がSARS-CoV感染阻止、あるいはSARSの病態進行阻止に有用である可能性が示唆されている。先日発表された研究論文(Hoffmann et al.)によると、SARS-CoV-2の感染成立にもセリンプロテアーゼが関与することが証明され、SARSと同様、セリンプロテアーゼ阻害薬がCOVID-19の治療にも有用である可能性が示された。事実、試験管レベルではあるが、当該論文では、SARS-CoV-2の培養細胞への侵入をセリンプロテアーゼ阻害薬であるメシル酸カモスタットが強力に抑制した。

 メシル酸ナファモスタット(商品名:コアヒビター)はメシル酸カモスタット同様セリンプロテアーゼ阻害薬であり、2020年3月、東京大学の井上らは、メシル酸ナファモスタットがSARS-CoV-2の宿主細胞への侵入を阻止することができる可能性を報告した。

 コアヒビターは2002年に薬価基準収載され、これまでに急性膵炎、DIC、対外循環時の凝固防止に使用されている。特に急性膵炎においては内科、外科での使用経験は豊富であり安全性も確立している医薬品である。副作用としてはショック、アナフィキラシー、電解質異常、白血球・血小板減少、肝機能障害等が報告されているが、いずれもその発生頻度は1%未満とされている。

 以上、本申請は、COVID-19患者へ、疾患適応のないコアヒビターの投与を計画するものである。
判定 条件付承認